<<カップに珈琲を注ぐまで・・・(サイフォン編)>>
珈琲クレイジーへようこそ。
やっと5話溜まりました。おっそ!
亀並みにノロノロペースですが、コメントを下さる皆様に感謝申し上げます。
すごく励みになる言葉を頂戴したり、リンクを貼らせて頂き、貼って頂き・・で、創作がどんどん楽しくなってます。ありがとうございます。
では、今回も忘れないうちに、ストーリーの解説をしたいと思います。
■D.N.A ■
そのままズバリ、息子へのメッセージです。
親子って似なくていい、似てほしくないところが似たりしますよね・・。
可哀想に(笑)
決して綺麗とは言えない私の手ですが、彼が同じ手をしているのを見ると可愛く見えてしまったり。
「あーちゃーん!」と私を求めてくる息子も、いつか離れていってしまうのでしょうね・・
■ラヴレター2015■
これも実話です。
小学校での出会いでした。
強烈な存在感のある子でした。ストーリーそのままです。
変わってると言えばそうなんですが、大人びた思考と物言い。大人でも子供でもない不思議な子でした。
本当はもっと子供らしく生きたかった、けど環境や立場、様々な理由でそれができなかったのではないか・・と、大人になった今私はそんな風に感じています。
再会したいと思っています。
■マルーン色の傷跡■
とても高評価で、反応の良い作品になりました。
私の中では、「スクランブルエッグ交差点」と並ぶ完成度、納得度(あくまで自己評価)です。
男の本気の恋とその場しのぎの恋愛、その差は一体何か・・
何と何を天秤にかけるべきで、何を貫くべきか。
女は損か、得か、男の無邪気さは女のたくましさより勝るのか・・・etc
答えは出ませんが、コメントで書いた通り、決着を目指す。ことが精一杯なんではないでしょうか・・。自由と倫理のハザマでせいぜいもがきましょう(笑)
所詮独りよがりな表現ですが、案外伝わるもの、共鳴があったようで読み手の反応に、私も勉強になりました。
晋悟は決して悪くないけど、悪気のない罪が一番厄介ですかね・・?
■シャイニー■
これは、いつも読んでくれる親愛なる(笑)魂友(たまとも)へのメッセージ小説です。
彼女が生まれた時、付いた名前以外に候補にあがっていた名が「ミチル」。
私からのプレゼント。・・・嬉しくないって!?(・_・;)
シャイニーというタイトルを付けたくて書いたものです。
キラキラって女の子なら好きなんじゃないですかね、みんな。
あえて書きませんでしたが、舞台は高校です。
■ザ・ロック■
お酒を呑んだ時の、私が主人公、悲劇のヒロイン、感情的な時の流れ・・・大問題が勃発していても、どうにかなるさケセラセラ!的な心情、酔いに比例して高まる心の変化を過剰に表現したものです。
・・・・・ですかね?解説が難しい。
どんどん開放されていく中で、理性がどこまで警備できるか・・
鍵を持った探偵(アルコール)が勝つか、私(理性)が勝つか。
勝負を愉しむも良し、あっさり探偵に身を明け渡すも良し。
ゴタクはいいとして、いい酒呑みて〜〜〜〜!ってことです。(笑)
以上で、<<カップに珈琲を注ぐまで・・・(サイフォン編)>>を終わります。
今回は、カタカナ表記タイトルが多かった。
なんか思いつくのがカタカナ率が高いなーと自分でも思います。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
では、また次回の解説でお会いしましょう。。
ザ・ロック
アルコールが、喉の奥から胸を下り胃袋に到達する過程が、私を開放感へ誘(いざな)った。
冷たいウイスキーは喉を過ぎると体温よりも熱くなる。
熱い塊が細い管をゆっくりと下降していく。
安堵を求めてグラスを何度も口へ運ぶも、何度繰り返しても胸を締め付ける糸はなかなか緩んではくれなかった。
糸が細くて、しまいに胸が切れてしまうのではないかと思うくらいに。
切れたら、血が出るのだろうか。
アルコールで血流が激しくなった心臓が、細い糸によって締め付けられ、血が噴出す様を想像した。痛いだろうか。苦しいだろうか。
キリキリと締め付けられだしたばかりの浅い間が一番苦しいかもしれない。
いっそのこと、一気に糸を引っ張ってくれ。
可笑しくなった。
そんなことを頼める相手も、憎んでしてくれる敵も、私にはいないじゃないか。
孤独すぎたら死ぬのすら嫌になる。
死が、楽になれる地だと思えるだけマシだ。
逃げたいと思えるだけ・・・
アルコールは、私を開放する。
安堵は与えてくれないが、少しばかりの逃げ場は与えてくれる。
一時休戦ってやつだ。
オレンジ色を濃くしていったような深い茶色をした液体は、鍵、または合言葉の呪文のように、どんどん心の扉を解除していく。それはむしろ侵入に近い。
とんだ名探偵だ・・。
カラカランとグラスの液体を回して氷をゆらした。
右目の視界に液晶ディスプレイが光ったのが見えた。それは小刻みに震えていた。
「プレゼントのお知らせ!今すぐクリック・・・・」
携帯会社からのインフォメーション。
別に期待などない。だけど腹が立った。
やっぱり可笑しいって。
誰からの通信だったら良かったんだよ?
自分に対して呆れた反面、まだ笑えるってわかったらまた可笑しくなった。
「わかったよ、逃げも隠れもしないよ。」
誰も聞いてやしないのに、呟いて、上着を羽織るとオレンジ色に薄まり力の弱ったアルコールを飲み干した。
再び心に侵入できるかできないか・・・そのくらいで丁度いい。
名探偵に最後の鍵はまだ渡せない。
シャイニー
鉄棒に乗った水滴がキラキラ光って眩しい。雨が上がりの日が差してきた校庭は、ビーズを散りばめて、時々混じるスパンコールが一斉に名乗りを挙げているかのようだ。埃っぽい乾いた空間は、運動をするにはいいけど見るならこっちのほうがいい。濡れた校庭は2階の窓からでも砂の一粒一粒、小石の一つ一つがよく見える。いくつかできた水溜りには空が映って雲が流れているのだろうけど、さすがに2階からは地面のスクリーンの映像までは見えない。ただの水溜りだ。
「川嶋。続き読んで。」
「・・・・・。」
「かわしま?・・・続き!」
あてられていた。続きと言われても前に誰が読んでいたのかもわからないのに続きがわかるわけがない。
「すみません。聞いてませんでした。」
正直に言うのが一番いいだろう。どうせ叱れるんだから。
「・・・教科書82ページ、3行目。」
「え?ぁ、はい・・・・」
まさか教えてくれるとは思わず慌てて教科書を開いた。叱られるつもりだっただけに思わぬ反応に変に緊張してきた。83ページ・・・1,2,3・・・
「こ、紅葉をたたえ、朝日を受ける山頂は、燃えるような強い赤を放つ。山頂では、カエデやツツジ、ナナカマドなどが、あ、赤や黄色に移ろい始め、日々変化する。紅葉前線は十一月中旬にかけ、ふもとへ向かいゆっくりと下りていく・・・・・」
「そこまで。次、山瀬。」
着席して教室を見渡した。みんな案外授業をちゃんと聞いているように見えた。頭の中は知らないが。
真ん中より後ろ、校庭側の窓際の私の席からはクラスメイトのほぼ全体が見渡せる。視力の良い私は黒板の字も良く見える。音楽を聴くかケータイをいじるか、マンガを読むか、手紙を書くか・・・寝るか。選択肢はこんなもんかな。「授業を聞く」という選択肢は限られた人にしかない。私は外を見ているのが好きだけど、注意されやすいので頻繁にはできない。
一人一人あてて読ませるのは、ちゃんと聞いているか確かめているだけだ。
巧いか下手か、漢字が読めるかどうかなんて多分みていない。たまに、しっかり抑揚をつけて一生懸命読んでるやつがいるけど、意味ないのに。
最低限授業を聞いて、テストの点数が良いか、これがすべて。
さすがにもうあてられないと思い、窓の外を見た。
心なしか散らばっていたビーズの数が減ったような気がした。
時計を見る。チャイムが鳴るまであと25分。午後の授業は時間の流れがやたらと遅い。終礼が待ち遠しいのは私だけではないはずだけど、いちいち文句を言うのはそれはそれで面倒臭いとみんな思っているのだろう。
何気なく教壇に立つ先生を見た。黒板には何やら色々書いてあるけどノートに写すほどの内容とも思えなかった。教科書ガイドを見たほうが早い。
先生と目が合った。先生の方が先に目を離し、話を続けた。私はしばらく先生を見つめてみたけどもう目が合うことはなかった。
時計はさっきより10分進んでいた。
残り15分だけどカップラーメンが5個作れると思ったら、あとちょっと・・とは思えない。
椅子にもたれていた背中を椅子から離し、腰を反るように目立たない程度に伸びをした。
時計ばかりが気になるけど、どうせがっかりするだけなので、時計は極力見ないようにした。
忘れた頃に見るのが一番いい。思った以上に針が進んでいたりする。
空気の変化を感じてハッと外を見ると、日が陰っていた。雲が増えて隙間からブルーグレイの空が覗いた。ビーズは跡形も無く消えていた。運動をするのにはもってこいの雰囲気になった。無機質な、グラウンド。
何か変化はないかと探してみたけど何もなかった。
時計は残り2分をカウントしていた。
ノートやペンケースを少しずつ片付ける。チャイムが鳴ったら後は立つだけ。
終わりのチャイムはいい響きだ。
6時間目は移動授業。
移動に休憩時間が取られてしまうのがもったいないけど、場所が変わるのは退屈さが紛れる。忘れ物がないように持ち物を準備して、いつものようにミチルと一緒にパソコンルームへ向かった。
階段を降りる途中で、ペンケースに縫い付けてあったビーズのステッチが制服のボタンにひっかかって切れた。いくつかのビーズがパラパラと階段を落ちていった。
「あ〜ぁ、なんか落ちたよ?何?」
「うん、このビーズ。ボタンにひっかかった。」
「これ、かわいいのにね。いっぱい取れちゃった?拾おうか?」
「ううん、いい。散りばめとこ。・・・・・・・行こ!」
お気に入りのペンケースなのを知っているだけに、ミチルは一個一個拾ってくれんばかりに私を哀れむ表情だったけど、私は意外と平気だった。
階段がキラキラ光っていた。
なんだか嬉しくてそのままにしておきたかった。
パソコンルームから校庭は見えないけど、曇っているから見れなくてもいい。
ビースの散らばった階段をハイテンションで駆け下りた。
予想に反して嬉しそうな私をミチルが不思議そうに見ていた。
「キレイじゃん!ねっ!」
ビースを飛び越えながらミチルに言った。
「・・・・・そーだねー!」
階段の上から散らけたビーズをまじまじと見てミチルも納得したらしい。
ミチルにも雨上がりのキラキラを見せてあげたくなった。
次の雨はきっと、今日よりももっと綺麗に輝くはずだから・・